【要約&レビュー】『おいしいごはんが食べられますように』職場の「善意」に潜む不穏さを描く芥川賞受賞作
おいしいごはんが食べられますように
著者: 高瀬 隼子
ジャンル: 小説
試し読みもできます
Amazonで『おいしいごはんが食べられますように』をチェックする3行で分かるこの本のポイント
- 職場の「善意」に潜む不穏な人間関係を描く芥川賞受賞作
- 手作りお菓子を配る「いい人」の芦川さんに対するモヤモヤの正体が解き明かされる
- 「食べること」を通じて人間関係の微妙な力学を浮かび上がらせる問題作
この本はこんな人におすすめ
- 職場の人間関係にモヤモヤしている方
- 芥川賞作品を読みたい方
- 「善意のある人」に対する違和感を感じたことがある方
- 短くてさっと読める小説を探している方
独自5段階評価
| 項目 | スコア |
|---|---|
| 読みやすさ | ★★★★☆ |
| ストーリーの引き込み力 | ★★★★☆ |
| 再読したい度 | ★★★★☆ |
| 初心者おすすめ度 | ★★★☆☆ |
| 共感度 | ★★★★★ |
要約・内容紹介
あらすじ
二谷と押尾は同じ職場で働いています。そこにいるのが芦川さん。体が弱くて残業ができないけれど、手作りのお菓子を配ったり、みんなに気遣いを見せる「いい人」。
でも二谷は、芦川さんに対して言葉にできないモヤモヤを感じています。芦川さんの「善意」は、果たして本当に善意なのか。そして二谷自身は、芦川さんを嫌っている自分を正当化しようとしているだけではないのか。
「いい人」への違和感
本書が描くのは、「誰も悪くないのに不快」という日常の中の不穏さ。芦川さんは悪いことをしていない。でも周囲に微妙な負担をかけている。その構造を指摘すると、自分が「意地悪な人」になる。この閉塞感は、職場経験のある人なら誰でも覚えがあるのではないでしょうか。
「食べること」と権力
タイトルの「おいしいごはんが食べられますように」は、善意の言葉に見えて、実は複雑な意味を持っています。食べることを通じた人間関係の力学が、物語全体を貫いています。
読んだ後に残ったこと
フリーランスになる前、会社で働いていた時のことを鮮明に思い出しました。
どの職場にも「芦川さん」的な人はいます。悪い人ではない。むしろ「いい人」。でも何かモヤモヤする。その感情に名前がなくて苦しかった経験が、この本を読んで初めて言語化されました。
独立してフリーランスになった理由の一つは、こういう「名前のない不快感」から逃れたかったのかもしれません。この本は、職場の人間関係の微妙さを「食」という切り口で鮮やかに描いていて、うなりました。
読者の評判・口コミ
楽天レビュー1,800件超え、評価3.38。「職場あるある」「モヤモヤの正体が分かった」「芥川賞納得」という声がある一方、「不快すぎる」「誰にも共感できない」「後味が悪い」という声も多い。
賛否が分かれるのは、読者自身の職場経験や立場によって感想が大きく変わるためです。
良い点
- 職場の「名前のないモヤモヤ」を見事に言語化
- 「食」を通じた人間関係の描写が巧み
- 短いのに密度が濃い
注意点
- 後味が良くないので爽快感を求める方には不向き
- 登場人物に共感できない場合がある
- 明確な結論やカタルシスはない
この本の前後に読む本
前に読む本: 特になし。短いので気軽に読めます。
後に読む本: 『正欲』。同じく「社会の中の違和感」を描いた作品。
読了データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ページ数 | 約160ページ |
| 読了時間の目安 | 1〜2時間 |
| 図解・イラスト | なし |
| 難易度 | ★★★☆☆(文体はシンプルだがテーマが繊細) |
まとめ
『おいしいごはんが食べられますように』は、職場の「善意」に潜む不穏さを鮮やかに描いた芥川賞受賞作です。読後のモヤモヤは、そのまま日常に持ち帰ることになるでしょう。でもそのモヤモヤこそが、この小説の力です。
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Amazonで『おいしいごはんが食べられますように』をチェックするこの記事を書いた人
ゆう
フリーライター
フリーライター。WEBビジネス歴10年以上。3歳の息子を持つパパでもあり、育児と仕事の合間に年間200冊以上を読破。「この本で世界の見方が変わった」という体験を読者と共有したいと思いこのサイトを始めました。