【要約&レビュー】『正欲』「多様性」の欺瞞を暴く朝井リョウの問題作

レビュアー: ゆう
正欲

正欲

著者: 朝井 リョウ

ジャンル: 小説

★★★★★(5/5)
#小説#朝井リョウ#社会派#多様性

3行で分かるこの本のポイント

  • 「多様性を尊重しよう」という言葉の裏にある排除の構造を鋭く描く問題作
  • 検察官、大学生、契約社員――3つの視点が交差し、読者の価値観を揺さぶる
  • 映画化もされた、読後に自分の「正しさ」を問い直さずにいられない衝撃の一冊

この本はこんな人におすすめ

  • 「多様性」について深く考えたい方
  • 社会派小説が好きな方
  • 朝井リョウの作品を読みたい方
  • 読後に価値観が揺さぶられる小説を探している方

独自5段階評価

項目 スコア
読みやすさ ★★★★☆
ストーリーの引き込み力 ★★★★★
再読したい度 ★★★★☆
初心者おすすめ度 ★★★☆☆
思考を揺さぶる度 ★★★★★

要約・内容紹介

あらすじ

検察官の寺井、大学生の八重子、ショッピングモールの契約社員・夏月と佳道。それぞれが異なる立場から「正しさ」と向き合っています。

社会が認める「多様性」の枠から外れた欲望を持つ人間は、どう生きればいいのか。「理解されない側」と「理解する側」の間にある深い溝を、朝井リョウは容赦なく描き出します。

「多様性」の限界

本書が突きつけるのは、「多様性を認めよう」という美しい言葉の限界。社会が受け入れられる「多様性」には、実は境界線がある。その線の外にいる人たちは、「多様性」の名のもとに排除されている。この気づきは衝撃的です。

誰の「正欲」が正しいのか

タイトルの「正欲」は「正しい欲望」と読めます。では、何が「正しい」欲望で、何が「正しくない」欲望なのか。それを決めるのは誰なのか。読者に問いかけ続ける本書は、簡単な答えを与えてくれません。

読んだ後に残ったこと

読み終わった後、しばらく何も手につきませんでした。

僕も「多様性を尊重しよう」と口では言っていました。でもこの本を読んで、自分の「尊重」にも無意識の境界線があったことに気づかされました。理解できる範囲の多様性は歓迎し、理解を超えたものには目を背けていた。

3歳の息子を育てていると、「普通」を教えることの難しさを感じます。この本を読んで、息子には「普通」を押し付けるのではなく、「普通なんてない」ことを教えたいと思いました。

読者の評判・口コミ

楽天レビュー2,300件超え、評価4.02。「読後に世界の見え方が変わった」「朝井リョウの最高傑作」「自分の偏見に気づかされた」という声が多数。映画化もされ話題になりました。

「重すぎて読むのがつらい」「結論がないのでモヤモヤする」という声も。答えを求める読書には向きませんが、考え続けることに意味がある作品です。

良い点

  • 「多様性」の限界を鋭く描いた社会性
  • 複数視点が交差する構成の巧みさ
  • 読後に自分の価値観を見つめ直せる

注意点

  • テーマが重く、読後感も軽くはない
  • 明確な結論やカタルシスはない
  • センシティブな描写を含む

この本の前後に読む本

前に読む本: 朝井リョウ『何者』。同じ著者の直木賞受賞作で、「自意識」をテーマにした作品。

後に読む本: 『コンビニ人間』。「普通」から外れた主人公を描いた作品で、テーマに通じるものがあります。

読了データ

項目 内容
ページ数 約400ページ
読了時間の目安 5〜6時間
図解・イラスト なし
難易度 ★★★★☆(テーマの重さが難易度を上げる)

まとめ

『正欲』は、「多様性を認めよう」という美しい言葉の裏側を容赦なく描いた問題作です。読後に自分の「正しさ」を問い直さずにはいられない。居心地は悪いけれど、読む価値のある一冊です。

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この記事を書いた人

ゆう

フリーライター

フリーライター。WEBビジネス歴10年以上。3歳の息子を持つパパでもあり、育児と仕事の合間に年間200冊以上を読破。「この本で世界の見方が変わった」という体験を読者と共有したいと思いこのサイトを始めました。