【要約&レビュー】『東京島』31人の男と1人の女が漂着した孤島——桐野夏生が描く極限のサバイバル

レビュアー: ゆう
東京島

東京島

著者: 桐野 夏生

ジャンル: 小説

★★★☆☆(3/5)
#小説#桐野夏生#サバイバル#人間ドラマ

3行で分かるこの本のポイント

  • 暴風雨で漂着した孤島で31人の男と1人の女が織りなす人間ドラマ
  • 極限状況で露わになる人間の本性とパワーバランス
  • 桐野夏生が描く現代版「蝿の王」のようなサバイバル小説

この本はこんな人におすすめ

  • 桐野夏生の人間ドラマが好きな方
  • サバイバル要素のある物語が好きな方
  • 女性の視点から描かれる権力構造に興味がある方
  • 木村多江主演の映画版の原作が気になる方

独自5段階評価

項目 スコア
読みやすさ ★★★★☆
ストーリーの引き込み力 ★★★★☆
人間描写の鋭さ ★★★★★
極限状況のリアリティ ★★★★☆
桐野夏生らしさ ★★★★★

要約・内容紹介

唯一の女・清子

主人公の清子は、夫との世界一周クルーズの最中に暴風雨に遭い、孤島に流れ着きます。その後、日本の若者たち、謎めいた中国人などが次々と漂着。

島には31人の男と、たった一人の女・清子だけが残されます。救出の見込みがないまま、夫の隆も失った彼女——。

女一人が持つ「力」

唯一の女性である清子は、男たちの間で特別な存在となります。性的な対象として、あるいは希少な存在として。

彼女は状況を冷静に観察し、時に男たちを操り、時に寄り添いながら、この閉鎖された社会で生き抜いていきます。桐野夏生さんの描く強かな女性像が際立つ作品です。

極限状況の人間模様

孤島という限られた資源のなか、男たちの間には当然ながら派閥やパワーバランスが生まれます。日本人グループ、中国人グループ、孤立する者。

文明社会の建前が剥がれ、剥き出しの人間の本性が露わになる様は、ウィリアム・ゴールディングの『蝿の王』を彷彿とさせます。

読んだ後に残ったこと

僕はこの本を読んで、「文明とは何か」を考えました。現代社会のルールや常識は、実は脆いものなのかもしれない。極限状況では、驚くほど簡単に崩れていく。

息子には、どんな状況でも人としての尊厳を失わない大人になってほしい。そのためには、まず親である僕自身が、文明の皮一枚下の本性を自覚することが大切——本書はそんな自省を促してくれました。

読者の評判・口コミ

楽天レビュー925件超え、評価3.24。「桐野夏生の鋭さが炸裂」「読後にどっと疲れる」「極限の人間ドラマが秀逸」という声があります。

「救いがない」「展開がダーク」「映画版と印象が違う」という意見もあり、好みが分かれる作品です。

良い点

  • 極限状況の人間描写の鋭さ
  • 強かな女性主人公・清子の魅力
  • 桐野夏生らしいダークな読後感

注意点

  • 救いのない展開が続く
  • 性的描写・暴力描写が含まれる
  • 読後感は決して良くない

この本の前後に読む本

前に読む本: 『殺人鬼フジコの衝動』。真梨幸子のイヤミス。ダークな人間ドラマへの耐性を養うのに最適です。

後に読む本: 『流浪の月』。凪良ゆう本屋大賞受賞作。ダークなテーマから救済のある物語で読後感をリセットできます。

読了データ

項目 内容
ページ数 約416ページ
読了時間の目安 5〜6時間
図解・イラスト なし
難易度 ★★★☆☆(テーマが重い)

まとめ

『東京島』は、孤島に漂着した31人の男と1人の女が織りなす、桐野夏生の衝撃のサバイバル小説です。極限状況で露わになる人間の本性と、強かに生き抜く清子の姿。桐野夏生の鋭さを堪能できる一冊です。

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この記事を書いた人

ゆう

フリーライター

フリーライター。WEBビジネス歴10年以上。3歳の息子を持つパパでもあり、育児と仕事の合間に年間200冊以上を読破。「この本で世界の見方が変わった」という体験を読者と共有したいと思いこのサイトを始めました。