【要約&レビュー】『「知」の欺瞞』アラン・ソーカル/ジャン・ブリクモン——ポストモダンはなぜ科学を誤用したのか

レビュアー: ゆう

※本記事はAIを活用して作成しています。

「知」の欺瞞

「知」の欺瞞

著者: アラン・ソーカル/ジャン・ブリクモン

ジャンル: 科学・サイエンス

★★★★(4/5)
#科学評論#ポストモダン#ソーカル事件#科学リテラシー#知識人批判

3行で分かるこの本のポイント

  • ポストモダンの著名知識人たちによる科学用語の明白な乱用と誤用を実例で暴く告発の書
  • 「難解な言葉を並べれば権威に見える」というファッショナブル・ナンセンスの構造を解剖
  • 欧米で激論を呼んだソーカル事件の著者による、科学と言語の誠実な使用を訴える一冊

この本はこんな人におすすめ

  • ポストモダン思想に興味があり、批判的に読んでみたい方
  • 「難しそうに見える言説」に騙されたくないと思っている方
  • 科学と人文学の関係・対立について考えたい学生・研究者
  • ソーカル事件の詳細と背景を知りたい方

こんな人には合わないかも

  • ドゥルーズ・デリダ・ラカンなどの思想に共感している方(批判的な内容のため)
  • 科学用語の議論についていくのが難しいと感じる方
  • 思想・哲学の入門書として軽く読みたい方

独自5段階評価

評価項目 評価
内容の濃さ ★★★★★
読みやすさ ★★★☆☆
実践のしやすさ ★★☆☆☆
初心者向き度 ★★☆☆☆
コスパ(満足度) ★★★★☆

要約・内容紹介

ソーカル事件とは何だったか

1996年、物理学者アラン・ソーカルはポストモダン系の人文科学誌『ソーシャル・テキスト』に、科学用語を意図的にでたらめに使った偽論文を投稿し、見事掲載させることに成功しました。この「ソーカル事件」は、科学的な権威を装った意味不明な言説が、批評的検証なしに知識人社会に受け入れられていた現実を浮き彫りにしました。本書『「知」の欺瞞』は、その事件の背景と意図を説明しつつ、具体的な批判の対象としてラカン、クリステヴァ、イリガライ、ドゥルーズ、ガタリ、ボードリヤールなど著名な知識人たちの著作を俎上に載せます。

科学用語の誤用という問題

著者たちが問題にしているのは、これらの知識人たちが数学・物理学・生物学などの概念を、その意味を正確に理解せずに(あるいは理解を装って)人文的な議論の中に持ち込んでいるという点です。たとえば「トポロジー」「量子論」「カオス理論」といった概念が、厳密な定義を無視して比喩的・装飾的に使われている事例が、本書では原文と解説を並べる形で詳細に示されています。

重要なのは、著者たちが「ポストモダン思想そのものが間違い」と言っているわけではないという点です。科学用語を濫用することで言説に権威性を付与しようとする手法——それこそが「知の欺瞞」であり、批判の対象だということです。

誠実な知的議論のために

本書の根底には、「言葉を正確に使う」という誠実さへの訴えがあります。難解な言葉でコーティングされた主張は、批判を寄せ付けにくく見えますが、その中身が空疎であればあるほど、知的議論全体の水準を下げてしまいます。ソーカルとブリクモンはこの点において、科学者としての倫理観から、人文・社会科学系の議論にも同様の誠実さを求めているのです。

読んだ後に残ったこと

読む前の期待

「ポストモダンを批判した本」というイメージがあり、「科学側の人間が人文学を叩いた本」という先入観を持って読み始めました。フランス思想はそもそもよく分からないので、どこまで理解できるか不安でもありました。

読んで残ったもの

思っていたより公平な態度の本でした。著者たちは「ポストモダン=ダメ」とは言っておらず、「科学用語の誤用」という限定的な問題を丁寧に証拠立てています。引用される知識人の文章が「確かにこれは意味が分からない……」と感じるものばかりで、読み進めるにつれて「権威的な言葉の圧力」に対して批判的な目を持つことの大切さを実感しました。難解さを装った言説に対して「これは何を言っているのか?」と素朴に問い直す態度の重要性が、強く残っています。

読後の変化

ネット上やSNSで「それっぽい難しい言葉」を使っているコンテンツを見るとき、「これは実際に何を言っているのか」と問い直す習慣が強まりました。専門用語は正確に使われているか、という視点は、情報リテラシーの基本として普段の読書にも活きています。

正直、ここが物足りなかった

本書は批判の対象となる原文を丁寧に引用するため、読んでいると相当な根気が必要です。ラカンやイリガライの難解な文章を延々と読まされる箇所では、「批判の素材として出てきているとわかっていても疲れる」という感覚があります。また、日本語訳の質もあってか、科学的な概念の説明部分がやや難解で、理系知識のない読者には補足が必要な場面があります。

批判対象の思想家たちへの反論の機会が本書内には設けられていないため、「著者側の論が一方的に展開されている」という不均衡さを感じる方もいるかもしれません。もちろんそれが批評書の性格ではありますが、フェアネスの観点では少し片手落ちに映ることもあります。

読者の評判・口コミ

楽天レビューでは評価4.06。「ソーカル事件の詳細が分かった」「知的誠実さについて考えさせられた」という支持の声が多い一方、「批判対象の思想を先に理解していないと分かりにくい」「読むのに体力が必要」という声もあります。「読んでよかったと同時に、読み返すのはつらい本」という正直な感想も見られ、内容の重さが滲み出ています。

良い点

  • 原文引用と解説を対比する形式で、主張が具体的で検証可能
  • 批判がポストモダン全体ではなく科学用語の誤用に絞られており、公平
  • 知的誠実さという普遍的なテーマを扱っており、今でも色褪せない

注意点

  • ポストモダン思想の基礎知識がないと、批判の射程が分かりにくい
  • 引用される難解な文章を読む忍耐力が必要
  • 著者側の議論が一方的に展開される批評書の性格を理解した上で読む必要がある

似た本と比べると

ポール・グロス&ノーマン・レヴィット『高次の迷信』も似た立場から人文学の科学理解を批判した本で、本書と合わせて読むと問題の全体像が見えやすくなります。日本では菊池誠などのニセ科学批判の文脈とも接続しますが、本書はその「ソース」に当たる書物として位置づけられています。「権威のある言説を疑う」という姿勢を鍛えたい方には、本書は出発点として最適です。

この本の前後に読む本

前に読む本: 『現代思想の冒険』(竹田青嗣)——ポストモダン思想の基本をある程度知ってから読むと、批判の内容がより鮮明に理解できます

後に読む本: 『科学哲学への招待』(野家啓一)——本書で浮かんだ「科学とは何か」「言語とは何か」という問いを深めるために

読了データ

項目 内容
ページ数 約360ページ
読了時間の目安 6〜10時間
図解・イラスト なし
難易度 ★★★★☆(引用箇所は難解、著者の解説は明快)

まとめ

『「知」の欺瞞』は、難解な言葉の裏に隠れた空疎さを暴く、知的誠実さの書です。読むのに体力は要りますが、「権威ある言説を鵜呑みにしない」という批判的思考の筋肉を鍛えてくれます。ポストモダン思想や科学リテラシーに関心がある方に、強くおすすめします。

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この記事を書いた人

ゆう

フリーライター

フリーライター。WEBビジネス歴10年以上。3歳の息子を持つパパでもあり、育児と仕事の合間に年間200冊以上を読破。「この本で世界の見方が変わった」という体験を読者と共有したいと思いこのサイトを始めました。