【要約&レビュー】『「役に立たない」科学が役に立つ』フレクスナー——基礎研究と好奇心の弁護
※本記事はAIを活用して作成しています。
「役に立たない」科学が役に立つ
著者: エイブラハム フレクスナー/ロベルト ダイクラーフ/初田 哲男/野中 香方子/西村 美佐子
ジャンル: 科学・サイエンス
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Amazonで『「役に立たない」科学が役に立つ』をチェックする3行で分かるこの本のポイント
- 「役に立つかどうか」を問わない純粋な好奇心こそが最大の革新を生むというメッセージ
- アインシュタインをはじめ多くのノーベル賞受賞者を育てたプリンストン高等研究所の創立者が語る科学哲学
- 基礎研究への投資と知的自由の意義を訴える現代の科学・教育政策への挑戦状
この本はこんな人におすすめ
- 科学や研究の意義を問い直したい研究者・大学院生
- 「役に立つことしかやってはいけない」という社会の圧力に疑問を感じている方
- 知的好奇心を大切にしたい・子どもにそう育ってほしいと願う方
- 科学史・科学哲学に関心のある一般読者
こんな人には合わないかも
- 科学の実践的な応用や最新の研究動向を知りたい方
- 長大な論証よりも事例集として読みたい方
- 科学と社会の関係についての詳細な政策論を求めている方
独自5段階評価
| 評価軸 | 評価 |
|---|---|
| 内容の濃さ | ★★★☆☆ |
| 読みやすさ | ★★★★★ |
| 実践のしやすさ | ★★☆☆☆ |
| 初心者向き度 | ★★★★☆ |
| コスパ(満足度) | ★★★★☆ |
要約・内容紹介
「役に立たない」という言葉の反転
本書の中心となる1939年のエッセイ「無用な知識の有用性」でフレクスナーが語るのは、マクスウェルの電磁気理論やファラデーの実験が当初まったく「役に立たない」と思われていたにもかかわらず、後の無線通信・電力技術の根幹になったという事実です。電子の発見も、X線の発見も、当初は「何の役に立つのか」と問われ続けました。しかし、役立つことを目的として作られた研究より、純粋な好奇心から生まれた研究の方が、最終的により大きな実用的成果をもたらすというのが著者の一貫した主張です。
プリンストン高等研究所という実験
フレクスナーはこの思想を制度として実現しました。それがプリンストン高等研究所(IAS)です。アインシュタイン、フォン・ノイマン、ゲーデルなど20世紀最大の知性たちが、即時の「役立ち」を問われることなく研究に没頭できた場所。IASの設立理念は「世界で最も優秀な頭脳が、自分の好奇心の赴くままに研究できる環境を作ること」でした。この理念が現代の計算機科学・理論物理学・数学に与えた影響は計り知れません。
現代へのメッセージ
本書の共著者であるIAS現所長ダイクラーフは、現代のエッセイで、「役立つ研究のみを支援する」という傾向が増す現代の研究環境への警鐘を鳴らしています。短期的な成果を求める研究資金配分の問題、大学での基礎研究への圧力——日本でも身近な問題として感じられる指摘が続きます。小さな本ですが、科学政策と知的自由をめぐる本質的な問いが詰まっています。
読んだ後に残ったこと
読む前、「役に立たない研究」という言葉から少し守りの印象を受けていました。基礎研究の擁護論として「また同じような主張か」と思っていた節がありました。
ところが読み始めると、フレクスナーの文章が予想外に力強く、読者を説教するのではなく、好奇心の喜びを語る口調で進む点に引き込まれました。特に、電磁気理論がどのような「遊び心」から生まれたかを語る部分は、科学の発見の瞬間がいかに開かれた心から生まれるかを実感させてくれます。
読後、3歳の息子が虫を集めているときに「それ何の役に立つの」という言葉を飲み込むようになりました。役に立たないように見える好奇心こそが、何か大事なものを育てているかもしれない。親として考えさせられた一冊です。
正直、ここが物足りなかった
本書はフレクスナーの1939年のエッセイとダイクラーフの現代的な補論の2本が中心で、合計でも200ページに満たない薄い一冊です。論点は明快で説得力があるのですが、「もっと読みたい」という感覚が残ります。基礎研究への具体的な政策提言や、反論への応答などをもっと盛り込んでほしかったです。また、翻訳のクオリティはおおむね良いのですが、一部訳文に堅さがあり読み飛ばしたくなる部分もありました。
読者の評判・口コミ
楽天レビューでは評価3.8、レビュー21件です。「こんな小さな本にこれだけの思想が詰まっていた」「研究者として勇気が出た」という感動的な声が多い一方、「薄すぎる」「もっと深く論じてほしかった」という声もあります。薄さゆえのギャップはあるものの、内容の密度に対する評価は高いです。
良い点
- 薄くて短時間で読めるが、内容の射程と深さは十分
- 科学哲学の入門として読みやすく、専門知識不要
- 好奇心を肯定してくれる温かいメッセージが現代人にも刺さる
注意点
- 非常に薄い一冊のため、本格的な論考としての深さは限定的
- 具体的な政策論や制度設計への踏み込みはない
- 基礎研究擁護の主張は共感できるが、批判への反論は少ない
似た本と比べると
カール・セーガン『コスモス』や福岡伸一『生物と無生物のあいだ』は科学への愛情を描く名著ですが、より物語的・叙情的なアプローチです。本書はエッセイ形式でより思想的・哲学的に「なぜ基礎科学が重要か」を論じており、政策論や科学哲学に近い。どちらが向いているかは読者の好みによりますが、論理的な説得を求めるなら本書の方が直球です。
この本の前後に読む本
前に読む本:『素粒子論のランドスケープ』(リサ・ランドール)——理論物理学が何を問い何を追求しているかを感じてから本書を読むと、基礎研究への共感が倍増します。
後に読む本:『科学者とは何か』(村上陽一郎)——科学者の社会的役割と基礎研究の意義を、科学史・科学論の視点からより深く論じた一冊です。
読了データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読了時間の目安 | 約2時間 |
| ページ数 | 約170ページ |
| 難易度 | 初〜中級 |
| 出版年 | 2020年(原著1939年+2019年) |
まとめ
『「役に立たない」科学が役に立つ』は薄いながらも、好奇心と知的自由の大切さを鮮やかに語る小さな名著です。研究者にも、子育て中の親にも、学びに迷っている方にも響くメッセージが詰まっています。
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ゆう
フリーライター
フリーライター。WEBビジネス歴10年以上。3歳の息子を持つパパでもあり、育児と仕事の合間に年間200冊以上を読破。「この本で世界の見方が変わった」という体験を読者と共有したいと思いこのサイトを始めました。