【要約&レビュー】『読書について 他二篇』ショウペンハウエル——「多読は思考力を破壊する」19世紀の哲学者の逆説を読む

レビュアー: ゆう

※本記事はAIを活用して作成しています。

読書について 他二篇

読書について 他二篇

著者: ショウペンハウエル

ジャンル: 哲学

★★★★(4/5)
#哲学#ショウペンハウエル#読書論#思考論#古典

3行で分かるこの本のポイント

  • 「読書とは他人にものを考えてもらうことである。多読に費やす人間は次第に自分でものを考える力を失う」——200年近く前に書かれた読書論が、情報過多の現代に直撃する
  • 「自分の頭で考える」「読書について」「著述と文体について」の3篇を収録——いずれも岩波文庫でわずか100ページ程度の分量に、鋭い洞察が凝縮されている
  • 「自分で考えて得た真理は、読書で得た知識の100倍の値打ちがある」——スマホ時代にこそ刺さる「情報消費より思索」というメッセージ

この本はこんな人におすすめ

  • 本を読むことが好きなのに「読んでも頭に残らない」と感じている人
  • SNSや情報系コンテンツを大量に消費しているが、「何かが空回りしている」と感じている人
  • 哲学書を読んでみたいが、分厚い大著は難しいと感じている人(この本は非常に薄い)
  • 「なぜ多読なのに賢くならないのか」という問いを持っている人

こんな人には合わないかも

  • ショウペンハウエルの断定的で挑発的な文体が苦手な人(「凡人」「愚か」という表現が多い)
  • 読書肯定論、読書礼賛の本を期待している人(これは読書への皮肉から始まる本です)
  • 体系的な認識論や哲学体系を学ぼうとしている人(この本はエッセイ的な随筆集です)

独自5段階評価

項目 スコア
内容の濃さ ★★★★★
読みやすさ ★★★☆☆
実践のしやすさ ★★★☆☆
初心者向き度 ★★★☆☆
コスパ(満足度) ★★★★★

要約・内容紹介

「読書は他人に考えてもらうことだ」という衝撃

ショウペンハウエル(1788〜1860)の『読書について 他二篇』は、1850年の著作『余録と補遺』に収められた3篇のエッセイを岩波文庫がまとめたものです。全体で100ページ程度の薄い本ですが、その内容の密度は哲学書の中でも群を抜いています。

3篇は「自分の頭で考える」「著述と文体について」「読書について」の順で収録されています。核心となる「読書について」の出発点は、今日読んでも刺激的な一文です。「読書とは他人にものを考えてもらうことである。一日を多読に費す勤勉な人間は次第に自分でものを考える力を失ってゆく」——読書が習慣になっている人ほど、この言葉に刺さるはずです。

ショウペンハウエルの批判の的は「多読」そのものというよりも、「考えることなく読む習慣」です。本を読んで「知識を得た」と満足し、それを自分の思考に転化しない読み方を彼は「知識の奴隷」と呼びます。本を読む行為は、優れた思考を借りてくる作業に過ぎない——それを消化して自分の言葉で考え直す過程なしに、読書は空洞になるという主張です。

「良書のみを読め、悪書は読むな」という徹底した選択論

ショウペンハウエルの読書論で特徴的なのは、「読む量より読む質」という主張を極限まで推し進めていることです。彼は「悪書を読む前に、良書のリストを作れ」と言います。

彼の定義する「良書」とは、「常人をはるかにしのぐ偉大な人物の作品」「あらゆる時代・民族の生んだ天才の作品」「歴史を耐え抜いた古典」です。逆に「悪書」は「時間と注意力を奪いとる雑草」であり、悪書を避けることが良書を読むことと同じくらい重要だと論じます。

現代の文脈で言えば、これはSNSのタイムラインを際限なく流し読みすることへの警告として機能します。19世紀に「多数の凡庸な著述が人々の思考を奪う」と指摘したショウペンハウエルの洞察が、情報の洪水が当たり前になった21世紀にむしろ精度を増しているという逆説があります。

「自分の頭で考える」という最初の篇の意味

3篇の中で最初に収録されている「自分の頭で考える」は、読書論の前置きとして機能しています。思索(自分で考えること)と読書(他人の思考を借りること)の対比が展開され、「自分で考えて手に入れた真理と洞察には、読んで得た知識の100倍の値打ちがある」という言葉が示されます。

ショウペンハウエルは「学者と思想家は違う」と言います。「学者とは書物を読破した人。思想家とは世界という書物を直接読破した人」——この区別は、大学で学んだ知識を振り回す人と、自分の経験と観察から本質を見抜く人の違いとして今でも通用します。

「読書について」を読んで「では何を読めばいいのか」という問いへの答えとして「自分の頭で考える」篇が冒頭にある、という構造は意図的です。読書の前に「何を考えたいのか、どう考えたいのか」を明確にしておくことが、良い読書の前提になるとショウペンハウエルは示唆しています。

実際に試してみた

読む前:「読書が好きな自分がなぜ読書批判の本を読むんだ」という矛盾感

フリーライターとして仕事をしていると、「本を読む量=知識量」という等式を信じたくなります。Kindle読み放題で月に10〜15冊読んでいて、「これだけ読んでいれば知識は蓄積される」という安心感がありました。

この本を読んだのは、あるブックレビューで「多読の人ほど読むと刺さる本」という紹介を見たからです。自分が多読であることへの自信とプライドがあったので、「批判されても構わないくらい読んでる」という上から目線で読み始めました。

「知識を得ることと考えることは別の行為だ」という気づき

読み始めて10ページで、まずいことになったと感じました。「月に10〜15冊読んでいる」という自分が、「多読に費やす人間は次第に自分でものを考える力を失う」という文章で直撃されたからです。

自分の仕事を振り返ると、確かに「読んだ本の内容を要約する」ことが多い。読んで記録して、人に伝える——この仕事の流れのどこかで「自分はどう考えるか」という部分が薄くなっていたかもしれない、という疑念が生まれました。

「自分で考えて得た真理には100倍の値打ちがある」という言葉は、逆に言えば「自分の考えに自信を持て」というメッセージでもあります。読んだことを消化して「自分の言葉で考え直す時間」を意識的に作ることが、読書家にとっての「本当の学び」だという発見は、この本から受け取った最も重要なことでした。

変えた行動:読んだ後に「書く」という工程を加えた

読んでから、本を読んだ後に5分だけ「この本を読んで自分はどう考えるか」を手書きでメモするようにしました。要約でも感想でもない、「自分がこの読書から得た考え」だけを書く時間です。

これをやり始めると、「読んだけど何も残っていない」という感覚が減りました。同時に「あれ、この本から自分は何も考えていなかった」と気づく読書も増えました。後者が増えることは悪いことではなく、「消化できていない本を把握できた」ということです。

正直、ここが物足りなかった

ショウペンハウエルの文体は断定的で、時に攻撃的です。「凡人」「愚か」という表現が頻繁に出てきて、読み方によっては説教的に感じます。また3篇はそれぞれ独立したエッセイであり、体系的な読書論の展開ではないため、「哲学的な読書の方法論を学びたい」という目的には合いません。「刺激を受ける」本であって「方法を学ぶ」本ではない点を理解して読む必要があります。

読者の評判・口コミ

Amazonや読書メーターでは「本を読む人に一度は読んでほしい逆説的な名著」という評価が定番です。「読書好きが読むと刺さる」「SNS時代に読むと100年前の警告が現在のことに見える」という感想が多く、批判的な声では「断定的な物言いに嫌悪感がある」「自分を高みに置いた書き方が鼻につく」という意見も一定数あります。

良い点

  • 「読書=良いことという常識」への挑戦が、読書好きほど刺さる構造になっている
  • 岩波文庫でわずか100ページ程度の薄さで、密度の高い洞察を短時間で体験できる
  • 現代のSNS・情報消費の問題として読み直せる普遍性が高い

注意点

  • 断定的・挑発的な文体のため、文章自体に拒否感を覚える読者がいる
  • 体系的な哲学書ではないため、「哲学入門」として読むと期待とずれる
  • 「悪書を避けろ」という主張の「悪書の定義」は読者自身が考える必要がある

似た本と比べると

同じ「読書論」の文脈では、林修の読書論や、成毛眞『本は10冊同時に読め』などが現代版として比較対象になりますが、ショウペンハウエルの特徴は「読書に対して懐疑的な立場から出発する」点です。読書礼賛の本が多い中で、読書に批判的な視角を持つという点で独自の位置にあります。ニーチェやカントの読書論と比べると、ショウペンハウエルのほうが散文的で読みやすく、哲学の入口として適しています。

この本の前後に読む本

前に読む本: 特に前提となる本はありません。哲学書として薄く、ショウペンハウエルの入門としても適しています。

後に読む本: ショウペンハウエル『意志と表象としての世界』。本書でその思想に興味を持った場合は主著に進む価値があります(ただし分量は膨大です)。

読了データ

項目 内容
ページ数 約100ページ(岩波文庫版)
読了時間の目安 1.5〜2時間
図解・イラスト なし
難易度 ★★★☆☆(文章は明快だが、思想を消化するには時間がかかる)

まとめ

『読書について 他二篇』は、読書好きほど読むと刺さる逆説的な一冊です。「多読は思考力を破壊する」という命題は挑発ですが、その先にある「自分の頭で考えることの価値」というメッセージは今でも有効です。

買うべき人は「本は読むけど何かが空回りしていると感じる人」「情報消費に疲れを感じ始めている人」「薄くて深い哲学書に入りたい人」です。買わなくていい人は「読書礼賛の安心感が欲しい人」——この本は読書への甘えを否定するところから始まります。刺激を受ける準備ができているなら、2時間で読めて考え続けられる一冊です。

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この記事を書いた人

ゆう

フリーライター

フリーライター。WEBビジネス歴10年以上。3歳の息子を持つパパでもあり、育児と仕事の合間に年間200冊以上を読破。「この本で世界の見方が変わった」という体験を読者と共有したいと思いこのサイトを始めました。