【要約&レビュー】『存在のすべてを』30年前の誘拐事件と写実画家の謎——塩田武士の傑作長編ミステリー

レビュアー: ゆう
存在のすべてを

存在のすべてを

著者: 塩田武士

ジャンル: 小説

★★★★(4/5)
#小説#塩田武士#ミステリー#社会派

3行で分かるこの本のポイント

  • 平成3年の誘拐事件から30年、被害男児の「今」を追う新聞記者の物語
  • 再取材の果てに浮かび上がる写実画家の存在と事件の真相
  • 『罪の声』の塩田武士が描く社会派長編ミステリーの新たな到達点

この本はこんな人におすすめ

  • 塩田武士作品のファン
  • 社会派ミステリー・新聞記者ものが好きな方
  • 長編で読み応えのある作品を求める方
  • 『罪の声』に感動した方

独自5段階評価

項目 スコア
読みやすさ ★★★★☆
ストーリーの引き込み力 ★★★★★
取材の緻密さ ★★★★★
社会派テーマの重み ★★★★★
ラストの余韻 ★★★★★

要約・内容紹介

平成3年の誘拐事件

平成3年(1991年)、ある幼児が誘拐された事件が起きます。当時、警察担当だった新聞記者の門田は、その事件を懸命に取材していました。時は流れて30年後——。

旧知の刑事の死をきっかけに、門田は当時の事件の「被害男児の今」を知ることになります。その展開は、あまりに異様なものでした。

写実画家の存在

門田は再取材を重ねるうちに、ある写実画家の存在に辿り着きます。その画家と30年前の事件の関わりは? なぜ異様な展開を辿ったのか——。

取材という地道な作業が、徐々に真相を明らかにしていく。塩田武士さんならではの緻密なジャーナリスティックな筆致が冴えわたります。

塩田武士の社会派ミステリー

『罪の声』でグリコ・森永事件をモチーフに読者を唸らせた塩田武士さん。本書は平成最大の誘拐事件の一つ「グリコ・森永」とは違う、架空の事件をベースにしながらも、同時代の社会を鮮やかに切り取る社会派長編です。

30年という時間の重み、失われた時間、それでも残るもの——。人間の「存在」を問う、深い読み心地の一冊です。

読んだ後に残ったこと

僕はこの本を読んで、「時間が人を変える」ということを深く感じました。30年という歳月は、大人にとっても人生の相当の時間。事件の被害者、加害者、取材者——それぞれが時の流れの中でどう生きてきたのか。

父として、息子の30年後を想像してしまいました。どんな大人になっても、息子の「存在のすべて」を肯定し続けたい——そんな気持ちにさせてくれる一冊です。

読者の評判・口コミ

楽天レビュー866件超え、評価4.35と高評価。「塩田武士の新たな代表作」「取材の緻密さに感動」「30年の重みを感じる」という声が多いです。

「長すぎる」「前半のペースが遅い」という意見もありますが、読み応えのある社会派ミステリーとして高く評価されています。

良い点

  • 取材を通じて真相に迫る構成の緻密さ
  • 30年という時間の重みを感じさせる筆致
  • 社会派テーマと人間ドラマの融合

注意点

  • 長編で読み通すのに時間がかかる
  • 前半は地道な取材シーンが続く
  • テーマが重く気軽には読めない

この本の前後に読む本

前に読む本: 『白夜行』。東野圭吾の長編傑作。時間の経過とミステリーを描く構成で本書と響き合います。

後に読む本: 『イノセント・デイズ』。早見和真の社会派ミステリー。本書の重厚さと通じる読後感があります。

読了データ

項目 内容
ページ数 約592ページ
読了時間の目安 7〜8時間
図解・イラスト なし
難易度 ★★★☆☆(長編)

まとめ

『存在のすべてを』は、30年前の誘拐事件の「今」を追う新聞記者が辿り着く写実画家の謎を描く、塩田武士の社会派ミステリーの新たな到達点です。時間の重みと取材の緻密さ。『罪の声』ファンはもちろん、重厚な長編を求めるすべての読者におすすめの一冊です。

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この記事を書いた人

ゆう

フリーライター

フリーライター。WEBビジネス歴10年以上。3歳の息子を持つパパでもあり、育児と仕事の合間に年間200冊以上を読破。「この本で世界の見方が変わった」という体験を読者と共有したいと思いこのサイトを始めました。