【要約&レビュー】『流浪の月』「正しさ」に押し潰される二人の切ない物語

レビュアー: ゆう
流浪の月

流浪の月

著者: 凪良 ゆう

ジャンル: 小説

★★★★★(5/5)
#小説#本屋大賞#凪良ゆう#社会派

3行で分かるこの本のポイント

  • 「被害者」と「加害者」のレッテルを貼られた二人の本当の関係を描く衝撃作
  • 世間の「正しさ」が当事者を追い詰める社会の暴力性を静かに告発
  • 2020年本屋大賞受賞、映画化もされた凪良ゆうの代表作

この本はこんな人におすすめ

  • 「正しさ」とは何かを考えたい方
  • 凪良ゆうの作品を読みたい方
  • 本屋大賞受賞作を読みたい方
  • 人間関係の複雑さを描いた小説が好きな方

独自5段階評価

項目 スコア
読みやすさ ★★★★☆
ストーリーの引き込み力 ★★★★★
再読したい度 ★★★★★
初心者おすすめ度 ★★★★☆
思考を揺さぶる度 ★★★★★

要約・内容紹介

あらすじ

9歳の更紗は、家に居場所がなく、公園で過ごしていたところを19歳の大学生・文に声をかけられます。文の家で過ごした穏やかな日々。しかし二人の関係は世間から「誘拐事件」として報道され、文は「少女誘拐犯」、更紗は「被害少女」のレッテルを貼られます。

15年後、大人になった更紗は文と再会します。世間が決めた「被害者と加害者」の関係は、二人の間の真実とは全く違うものでした。

世間の「善意」という暴力

本書が描く最も恐ろしいものは、世間の「善意」です。更紗を「守ろう」とする周囲の人々が、結果として更紗を追い詰めていく。「あなたのため」という言葉が、当事者の声をかき消していく。その構造を、凪良ゆうは鋭く描いています。

二人だけが知る真実

文は犯罪者ではなく、更紗は被害者ではない。でも世間はそう信じてくれない。二人だけが知る真実と、世間が作り上げた物語の乖離。その中で「それでも一緒にいたい」と願う二人の姿に、胸が締め付けられます。

読んだ後に残ったこと

「世間の正しさ」について、深く考えさせられた一冊でした。

ニュースを見る時、僕たちは無意識に「被害者」と「加害者」を分けてしまいます。でもこの本を読んで、当事者の声を聴かずにレッテルを貼ることの暴力性に気づきました。SNSで誰かを「正義」で叩く行為は、この小説に出てくる「善意の暴力」そのものではないかと。

3歳の息子が将来、何か誤解を受けた時に「お前の話を聞かせてくれ」と言える親でありたい。この本は、「まず聴く」ことの大切さを改めて教えてくれました。

読者の評判・口コミ

楽天レビュー2,200件超え、評価4.09。「読後にしばらく動けなかった」「正しさとは何かを突きつけられた」「凪良ゆうの最高傑作」という声が多数。映画化もされ大きな反響を呼びました。

「設定が受け入れにくい」「テーマが重すぎる」という声もありますが、読むことで「自分の正義」を見つめ直すきっかけになる作品です。

良い点

  • 「正しさ」の暴力性を鋭く描いている
  • 当事者の声を聴くことの重要性を実感できる
  • 凪良ゆうの文章の美しさが際立つ

注意点

  • テーマがセンシティブで受け入れにくいと感じる方もいる
  • 読後感が重い
  • 年齢差のある関係性に拒否反応を示す方もいる

この本の前後に読む本

前に読む本: 特になし。凪良ゆうの入門として読めます。

後に読む本: 凪良ゆう『汝、星のごとく』。同じ著者の本屋大賞受賞作で、「世間の目」と闘う二人を描いた物語。

読了データ

項目 内容
ページ数 約320ページ
読了時間の目安 4〜5時間
図解・イラスト なし
難易度 ★★★☆☆(テーマは重いが読みやすい)

まとめ

『流浪の月』は、世間の「正しさ」が当事者を追い詰める構造を、静かに、しかし鋭く描いた作品です。読後に自分の「正義」を見つめ直さずにはいられない。「誰かを守る」つもりが「誰かを傷つけている」かもしれない。その気づきだけでも、読む価値のある一冊です。

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この記事を書いた人

ゆう

フリーライター

フリーライター。WEBビジネス歴10年以上。3歳の息子を持つパパでもあり、育児と仕事の合間に年間200冊以上を読破。「この本で世界の見方が変わった」という体験を読者と共有したいと思いこのサイトを始めました。