【要約&レビュー】『むらさきのスカートの女』「わたし」が追い続ける謎の女性——今村夏子が描く芥川賞受賞作の不穏な日常
むらさきのスカートの女
著者: 今村夏子
ジャンル: 小説
試し読みもできます
Amazonで『むらさきのスカートの女』をチェックする3行で分かるこの本のポイント
- 「むらさきのスカートの女」に執着する**「わたし」の不穏な観察日記**
- 第161回芥川賞受賞作——今村夏子らしい独特の距離感で描く日常
- 友達になろうと同じ職場へ誘導する「わたし」の歪んだ愛情の行方
この本はこんな人におすすめ
- 今村夏子作品のファン
- 芥川賞受賞作を読みたい方
- 純文学の独特な空気感を味わいたい方
- 短めの傑作を探している方
独自5段階評価
| 項目 | スコア |
|---|---|
| 読みやすさ | ★★★★★ |
| ストーリーの引き込み力 | ★★★★☆ |
| 今村夏子らしさ | ★★★★★ |
| 不穏さの演出 | ★★★★★ |
| 文学性 | ★★★★★ |
要約・内容紹介
むらさきのスカートの女
「むらさきのスカートの女」と呼ばれる、近所で有名な女性——。いつも同じむらさきのスカートをはき、公園で菓子パンを食べている彼女は、どこか浮世離れした存在です。
そんな彼女が気になって仕方のない「わたし」。「わたし」は彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導していく——。
観察者「わたし」の歪み
物語は、「わたし」の一人称で語られます。「わたし」はむらさきのスカートの女を熱心に観察し、分析し、接近を試みます。しかし、読み進めるうちに、読者は違和感を抱きます。
本当に観察されているのは誰なのか?「わたし」という存在こそが異様ではないのか——。今村夏子さんは、語り手の一人称という形式で、読者の認識を静かに揺さぶります。派手な事件がないのに、読後に強烈な不穏さが残る独特の作品です。
今村夏子の芥川賞受賞作
本作は2019年、第161回芥川龍之介賞受賞作。『こちらあみ子』『あひる』などで独自の文学世界を築いてきた今村夏子さんが、ついに芥川賞を受賞した一冊です。
「今村夏子の真骨頂」と評される本作。普通の日常の隣にある「ちょっとずれた世界」を、淡々とした筆致で描き出す技量が光ります。純文学ファン必読の傑作です。
読んだ後に残ったこと
僕はこの本を読んで、「他人を見る視線」の怖さを感じました。SNS時代、誰かを観察し、分析し、勝手に関係を築いた気になる——。それは「わたし」の姿と重なる部分があるのでは?
フリーライターとして人物取材をすることもありますが、取材対象との距離感は難しい。本書が投げかける「観察者の歪み」というテーマは、書き手としても考えさせられる一冊でした。
読者の評判・口コミ
楽天レビュー795件超え、評価3.61と高評価。「今村夏子らしい不穏さ」「芥川賞納得の傑作」「読後感が独特」という声が多いです。
「派手な展開がない」「結末が好みが分かれる」という意見もありますが、芥川賞受賞作として文学性の高さが評価される一冊です。
良い点
- 今村夏子らしい独特の空気感
- 一人称の仕掛け
- 短めで読みやすい
注意点
- 派手な事件はない
- 不穏な読後感
- 好みが分かれる文体
この本の前後に読む本
前に読む本: 『こちらあみ子』。今村夏子の芥川賞候補作。先に読むと今村ワールドに馴染めます。
後に読む本: 『ハンチバック』。市川沙央の芥川賞受賞作。本書の後に読むと芥川賞作品の幅が広がります。
読了データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ページ数 | 約176ページ |
| 読了時間の目安 | 2〜3時間 |
| 図解・イラスト | なし |
| 難易度 | ★★☆☆☆(読みやすい文体) |
まとめ
『むらさきのスカートの女』は、「わたし」が謎の女性を追い続ける不穏な日常を描く、今村夏子の芥川賞受賞作です。派手さはないが独特の読後感。純文学の妙味を味わいたい方に必読の一冊です。
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Amazonで『むらさきのスカートの女』をチェックするこの記事を書いた人
ゆう
フリーライター
フリーライター。WEBビジネス歴10年以上。3歳の息子を持つパパでもあり、育児と仕事の合間に年間200冊以上を読破。「この本で世界の見方が変わった」という体験を読者と共有したいと思いこのサイトを始めました。