【要約&レビュー】『株はもう下がらない』朝倉慶——「金融インフレの暴走」時代に現金を持ち続けることへの警告

レビュアー: ゆう

※本記事はAIを活用して作成しています。

株はもう下がらない

著者: 朝倉慶

ジャンル: マネー・投資

★★★☆☆(3/5)
#株式投資#株価#経済#朝倉慶#インフレ#資産運用

3行で分かるこの本のポイント

  • 世界中の中央銀行が大量の通貨を供給し続けた結果、「インフレ・パラダイム」という新しい経済局面が始まった——行き場を失ったマネーが資産市場に流れ込み続け、暴落は起きにくい構造が生まれているという朝倉慶の相場論
  • 現金を持ち続けることが最大のリスクになる——円の価値が目減りするなか、世界株・日本株・金などリスク資産へのシフトが「資産を守る唯一の手段」だという主張
  • タイトルは挑発的だが、内容は「なぜ今の株価が構造的に支えられているのか」を読み解く経済解説——日銀の政策転換・東証のPBR改善要求・外資の日本株回帰という三つの変化を整理する

この本はこんな人におすすめ

  • 日経平均が高値圏にある今、「今さら株を買うのは怖い」と感じて踏み出せない人
  • なぜ日本株が外国人投資家に買われているのか、その背景を理解したい人
  • インフレ時代の資産形成を考え始めたが、マクロ経済の知識が不足していると感じている人
  • 朝倉慶の相場観が気になるが、他の著作はやや難しいと感じていた人

こんな人には合わないかも

  • 具体的な銘柄選定・売買タイミングの手法を求めている人(本書には個別銘柄の分析はない)
  • 強気一辺倒の主張ではなく、リスクシナリオを丁寧に検討した本を読みたい人
  • インフレ・金融政策についてすでに深い知識がある投資家(入門〜中級向けの内容)

独自5段階評価

項目 スコア
内容の濃さ ★★★☆☆
読みやすさ ★★★★☆
実践のしやすさ ★★☆☆☆
初心者向き度 ★★★☆☆
コスパ(満足度) ★★★☆☆

要約・内容紹介

「インフレ・パラダイム」という新しい経済局面

本書の副題は「誰も止められない世界的金融インフレの暴走」です。著者・朝倉慶は、コロナ後の世界で起きた中央銀行による前例のない規模の量的緩和が、経済の構造そのものを変えてしまったと主張します。リーマンショック後も、コロナ禍も、各国政府と中央銀行は「財政出動+金融緩和」という処方箋で経済を支えてきた。その結果、市場に流れ出した膨大なマネーが行き場を求め、株式・不動産・金・暗号資産という資産市場に流れ込む構造が固まった。これが朝倉の言う「インフレ・パラダイム」です。

このパラダイムのなかでは、従来の「株価が高くなりすぎたから下がる」という論理が通用しにくくなる、というのが本書の核心的な主張です。マネーの総量が増え続ける限り、資産の名目価格は上昇し続ける。下落するとしても「実態経済の悪化」ではなく「センチメントの変化」による一時的なものに留まる、という見立てです。

デフレ時代の「株価は実態経済の鏡」という常識から、インフレ時代の「株価は通貨価値の反映」という視点への転換——これが本書の読者に求める認識の更新です。

日本株の「構造的な変化」という視点

本書でもう一つ印象に残るのが、「今の日本株上昇はバブルではなく構造変化の反映だ」という論点です。著者が挙げる変化は三つです。

一つ目は東証によるPBR改善要求。長年、PBR(株価純資産倍率)1倍割れが当たり前だった日本企業に、東証が「資本効率の改善」を明示的に求めたことで、自社株買い・増配・ROE向上への取り組みが加速しました。これは日本企業の姿勢が変わったという実態の話であり、株価上昇の一定の根拠になっています。

二つ目は外国人投資家の日本株回帰です。中国リスクが意識されるなか、海外機関投資家の資金が日本市場に向かい始めた。バフェットの商社株投資は象徴的なシグナルとして機能し、「日本株は割安な上に変革が始まった」という評価を海外に広めました。

三つ目は日銀の政策転換です。長年のゼロ金利・マイナス金利から正常化に向かう過程で、日本の投資環境が変わりつつある。著者はこれを単なる金利政策の話ではなく、「日本経済が正常化に向かう転換点」として捉えています。

「現金保有は最大のリスク」という主張の意味

本書が最も挑発的なのは、「今の時代に現金を持ち続けることが最も危険だ」という主張です。インフレ率が低かった時代は現金の購買力は維持されましたが、インフレが定着した世界では現金の実質価値は毎年目減りし続けます。著者はこれを「見えない増税」と表現し、日本人が染み込ませてきた「現金最強」という価値観への根本的な問い直しを迫ります。

この論点は「資産形成の必要性」という観点では説得力があります。ただし本書の限界として正直に言えば、インフレが定着するという前提自体への検討が薄い。日本の物価動向については長年のデフレからの転換は確かですが、本書が前提とする「世界的なインフレの定着」については、様々な見方があります。経済評論家のなかには、朝倉の主張がインフレリスクを過大評価しているという批判もあります。

強気論の結論を支えるために材料を選んでいるような印象も一部あり、「この本だけを読んで投資判断の根拠にするのは危険」という注意書きは必要です。それでも「なぜ今の株式市場がこうなっているのか」を概念的に整理する入門書としては機能します。

実際に試してみた

読む前:日経平均4万円超で「今さら感」があった

フリーランスになってからNISA口座だけは作りました。ただ高値掴みが怖くて積立以外の売買はほぼしていない、というのが正直な状態でした。「日経平均が4万円を超えた今から買うのは遅すぎる」という気持ちが常にあって、それが行動を止めていました。

この本を読もうと思ったのは、なぜ今の相場がこうなっているのかを一度整理したかったからです。毎日ニュースを見ても「円安が続く」「日銀が政策を変えた」という断片的な情報は入ってきますが、それが自分の資産形成にどう関係するのかの全体像がつかめていない、という漠然とした不安がありました。

「株価の高さ」と「割高かどうか」は別の話

読んで最も頭が整理されたのは、「株価が高い」という事実と「割高かどうか」は別の問題だ、という分け方です。株価が数字として高くなっても、企業の収益性が上がり、ROEが改善され、配当が増えていれば、バリュエーション上は必ずしも割高ではない。東証のPBR改善要求を受けた日本企業の変化は実際に起きており、それが外国人投資家の評価を変えたという文脈は、ニュース断片では見えにくい構造を教えてくれました。

インフレが資産の名目価格を押し上げるという視点も、腑に落ちるものがありました。円の価値が下がり続ける環境で「現金で持つ」ことが損失を生む、という論理は、「損をしないために現金で持つ」という自分の感覚と逆で、考え方の更新になりました。

変えた行動:積立設定の見直しと「株価高さへの恐怖感」の整理

本書を読んだあと、放置していた積立設定を見直して、高配当ETFへの積立を少額ながら追加しました。「今が高値だから怖い」という感情が、どこまで根拠のある判断でどこからが思い込みなのかを区別する整理ができたことが、背中を押した理由です。

ただし、本書の強気論を丸ごと採用したわけではありません。「インフレが定着する」という前提が崩れれば話が変わりますし、朝倉の主張にはバイアスがかかっているという批判も無視できない。「相場観の入口として読む本」として使うのが正解だと感じました。

正直、ここが物足りなかった

タイトルの「もう下がらない」という断言は、内容の実態より強すぎます。本文では地政学リスクや米国経済の失速シナリオにも言及していますが、それらが「上昇トレンドを止めるほどではない」という扱いに留まり、反論シナリオへの誠実な検討が薄い。強気の結論ありきで材料が選ばれているように読める箇所があります。また、日本のインフレ「定着」については日銀自身が慎重に見ており、本書の前提が崩れると議論全体が揺らぐリスクがある点は知っておくべきです。「投資を後押しする気づきの本」としては機能しますが、唯一の判断根拠にするには一面的すぎます。

読者の評判・口コミ

Amazonのレビューでは「マクロの視点が整理されてわかりやすい」「今の相場を理解するのに役立った」という好評がある一方、「強気すぎて客観性に欠ける」「根拠が薄い」「煽り本だ」という批判的な声も目立ちます。読書メーターでも「日本経済の転換点を理解する入門として使える」という評価と、「インフレ懸念を誇張している」という懐疑的な意見が混在しています。一言で言えば「相場観のアップデートに使う本」として評価されており、個別の投資判断に直結する実践書という評価は少数派です。

良い点

  • 「インフレ・パラダイム」「東証のPBR改善要求」「外資の日本株回帰」という三つの構造変化を平易な言葉で整理してくれる
  • 「現金を持つことがリスクになる」という視点は、デフレ世代の日本人には認識の更新になる
  • 読了時間が短く、相場観のアップデートや入門的な経済整理として使い勝手がよい

注意点

  • タイトルの「もう下がらない」は実態より強すぎる断言で、強気バイアスへの警戒が必要
  • 具体的な銘柄・売買戦略は書かれておらず、実践的な投資の指南書ではない
  • 出版時点の相場環境に依存する情報が多く、時事的な情報として鮮度が落ちやすい

似た本と比べると

同じく「インフレ時代の資産形成」をテーマにした橘玲の著作(『幸福の「資本」論』など)と比べると、本書は株式市場への楽観論が強く、リスク管理の視点が薄めです。藤野英人の著作など、日本企業の変化を丁寧に追ったものと合わせて読むと、本書の主張が一面的にならずに立体感が出ます。マクロ経済の全体像を押さえたいなら本書、個別銘柄の選び方まで踏み込みたいならより実践的な本、という使い分けが合っています。

この本の前後に読む本

前に読む本: 『株式投資の未来』ジェレミー・シーゲル——長期投資の基本論を先に押さえておくと、本書の相場論が整理しやすくなります。

後に読む本: 『敗者のゲーム』チャールズ・エリス——強気論の後に読むことで、「それでも長期積立がなぜ合理的か」を再確認できます。

読了データ

項目 内容
ページ数 約240ページ
読了時間の目安 3〜4時間
図解・イラスト グラフ・チャート多め
難易度 ★★☆☆☆(経済の基礎知識がある方には読みやすい)

まとめ

『株はもう下がらない』は、「インフレ時代に現金を持ち続けることが最大のリスク」という視点を中心に、今の株式市場がなぜ高値を維持しているのかを解説する相場論です。タイトルの断言は過剰で、強気バイアスへの警戒は必要ですが、「今の株式市場の構造を初めて整理する入門書」として読む分には有用です。

買うべき人は「日本株が上がっている理由を一冊で整理したい人」「インフレ時代の資産形成の入口を探している人」です。買わなくていい人は「投資の具体的な判断根拠を求めている人」「リスクシナリオを含めた均衡ある経済分析を読みたい人」——本書はあくまで「強気論の整理」であり、それ以上でもそれ以下でもありません。

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この記事を書いた人

ゆう

フリーライター

フリーライター。WEBビジネス歴10年以上。3歳の息子を持つパパでもあり、育児と仕事の合間に年間200冊以上を読破。「この本で世界の見方が変わった」という体験を読者と共有したいと思いこのサイトを始めました。