【要約&レビュー】『猫を棄てる 父親について語るとき』村上春樹——「父の記憶」を初めて書いた村上春樹の告白エッセイ

レビュアー: ゆう
猫を棄てる 父親について語るとき

猫を棄てる 父親について語るとき

著者: 村上春樹

ジャンル: エッセイ

★★★★(4/5)
#エッセイ#村上春樹#家族#戦争#記憶

3行で分かるこの本のポイント

  • 村上春樹が初めて「父」を書いた——「私的なことは書かない」という村上春樹が、初めて父親のことを正面から語った告白的エッセイ
  • 戦争の記憶と家族の歴史——父が体験した戦争・父の記憶・自分が受け継いだもの——村上春樹が「家族の歴史」を掘り起こす
  • 「猫を棄てる」というエピソード——父と二人で自転車に乗って猫を棄てに行った子供の頃の記憶から始まる、静かで深いエッセイ

この本はこんな人におすすめ

  • 村上春樹ファンで「小説以外の側面」も知りたい方
  • 「父親」という存在について考えたい方
  • 戦争と記憶・家族の歴史に関心がある方
  • 短い文章で深く考えさせる本を読みたい方

独自5段階評価

項目 スコア
読みやすさ ★★★★★
「父への視点」の繊細さ ★★★★★
戦争と記憶の描写 ★★★★☆
村上春樹の「私的な部分」への驚き ★★★★★
読後の余韻 ★★★★★

要約・内容紹介

「猫を棄てる」という記憶

本書のタイトルになった「猫を棄てる」エピソードは、子供の頃に父と二人で自転車に乗って猫を棄てに行った話です。棄てに行ったはずの猫が家に先に帰っていた——この小さなエピソードが、「父親」という存在について考える出発点になります。

「父親とはどんな人物だったか」を書き始めるきっかけが、この一つの記憶から生まれた——村上春樹らしい出発点です。

父が体験した戦争

本書の核心は「父が体験した戦争の記憶」です。父が中国戦線に従軍し・戦場で何を見たか・その記憶が父をどう変えたか——村上春樹は記録と想像と家族の話を組み合わせながら、父の戦争体験に迫ります。

「戦争が終わっても、戦争は終わっていない」——父の記憶が家族の歴史としていかに持続したかが、静かに語られます。

「受け継いだもの」という問い

本書の最後に村上春樹が問うのは「父から受け継いだもの」です。文学への関心・物事への向き合い方・名付けようのない何か——父から自分へと受け継がれた「何か」を探す旅が、本書の本質です。

「父親から何を受け取ったかを考えることは、自分が何者かを考えることだ」——この言葉が読後に最も深く残ります。

読んだ後に残ったこと

3歳の息子を持つ今、「自分は息子に何を伝えられるか」という問いが読後に自然に浮かびました。村上春樹が「父から受け継いだもの」を考えるように、将来息子が「父から受け継いだもの」を考える日が来る——その時に残せるものを意識したいと思いました。

「父」について考えさせる一冊として、読むタイミングを選ぶ本です。

読者の評判・口コミ

楽天レビュー246件前後、評価4.4前後と高評価。「村上春樹の新しい一面が見えた」「父について考えた」「短いのに深い」という声が多数。

「短すぎて物足りない」という声もありますが、この「密度の高い短さ」が本書の美学です。

良い点

  • 村上春樹が「私的なことを書いた」という希少性
  • 父・戦争・記憶が繊細に絡み合う
  • 松村映三のモノクロ写真との相性が完璧

注意点

  • 非常に短い(60分程度で読める)
  • 「深い物語」を期待すると物足りない場合がある
  • 村上春樹の長編小説ファンには物足りない密度

この本の前後に読む本

前に読む本: 特になし。村上春樹の小説を読んでいるとより深く楽しめます。

後に読む本: 特になし。本書で「戦争と記憶」テーマに興味を持ったら関連する文学にも進むことをおすすめします。

読了データ

項目 内容
ページ数 約100ページ
読了時間の目安 1時間
図解・イラスト あり(松村映三のモノクロ写真)
難易度 ★☆☆☆☆(非常に読みやすい)

まとめ

『猫を棄てる 父親について語るとき』は、村上春樹が初めて「父親のこと」を正面から書いた告白的エッセイです。戦争・記憶・受け継いだもの——「猫を棄てる」という小さな記憶から始まる、父と自分の間にある「何か」を静かに問い続ける一冊です。

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この記事を書いた人

ゆう

フリーライター

フリーライター。WEBビジネス歴10年以上。3歳の息子を持つパパでもあり、育児と仕事の合間に年間200冊以上を読破。「この本で世界の見方が変わった」という体験を読者と共有したいと思いこのサイトを始めました。