【要約&レビュー】『最後の秘境 東京藝大』二宮敦人——入試倍率東大の3倍、天才たちのカオスな日常の全記録
※本記事はAIを活用して作成しています。
最後の秘境 東京藝大
著者: 二宮敦人
ジャンル: エッセイ
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- 倍率が東大の3倍、卒業後に「行方不明者」が続出する芸術大学——著者の妻が現役彫刻科学生だったという縁から始まった、全学科インタビューによる「天才の生態記録」
- 美校(美術学部)と音校(音楽学部)では文化がまるで違う——「自分の好きなことを貫くためならどんな生活でも厭わない」という人種の多様性を体感できる本
- ブックライブ30件・評価4.0——「知らない世界への興味が止まらない」「藝祭に行きたくなった」「King Gnuの井口理がいた」という声が続く
この本はこんな人におすすめ
- 芸術家・音楽家の「素顔の生活」に興味がある人
- 「天才とは何者か」という問いを、取材ベースで読み解きたい人
- 大学や学問について「偏差値以外の尺度」で考えてみたい人
- 読んで藝大や芸術の世界が急に身近に感じられる体験をしてみたい人
こんな人には合わないかも
- 芸術全般への興味が薄い人(インタビューの内容は専門的な話が多い)
- 「天才の成功体験」を参考にしたい実用志向の人(この本は「成功」ではなく「生態」を描いている)
- 学術的な芸術論や音楽理論を学びたい人(ノンフィクションエッセイなので理論書ではない)
独自5段階評価
| 項目 | スコア |
|---|---|
| 内容の濃さ | ★★★★☆ |
| 読みやすさ | ★★★★★ |
| 実践のしやすさ | ★☆☆☆☆ |
| 初心者向き度 | ★★★★★ |
| コスパ(満足度) | ★★★★☆ |
要約・内容紹介
「著者の妻が藝大生」という入口
この本が生まれた経緯が面白い。著者・二宮敦人は小説家で、妻が東京藝術大学の彫刻科に在籍している現役の藝大生でした。妻に「藝大ってどういう世界なの?」と聞き続けた二宮が、妻をコーディネーターとして藝大の全学科の学生にインタビューを行い、その記録をエッセイとしてまとめたのがこの本です。
東京藝術大学は入試倍率が東大の3倍と言われる最難関大学のひとつです。「倍率が高い」という話は聞いていましたが、なぜ倍率がそれほど高いのかという本質——「この大学が求める能力は数値で測れないから」という事実——を読んで初めて理解しました。受験で測られるのは「この人間が芸術に人生を捧げられるか」という判断で、ペーパーテストとは根本的に違う選抜が行われています。
さらに「卒業後に行方不明者が続出する」という話も本書に出てきます。住所変更の届け出がない卒業生が一定数いて、大学側も把握しきれない——これが「普通の大学と違う」という事実をユーモラスに示しています。
美校と音校——「天才の生態の二極」
本書の中で最も面白い発見のひとつが、美校(美術学部)と音校(音楽学部)の文化の違いです。
美校の学生は個人単位での制作が中心で、「自分の作品と孤独に向き合う」生活を送っています。アトリエに泊まり込んで制作する、食事を忘れる、時間感覚がなくなる——そういう生活パターンを持つ学生が多い。一方、音校の学生は演奏が前提として「他者との協演」があり、アンサンブルや合奏の経験を積み重ねる社会性が必要になります。
同じ「芸術の専門家」でも、制作の方法論が全く違うため、美校と音校の間には「異文化交流」のような関係がある、という観察が面白かった。そして両者に共通しているのは「自分の専門に対する異常なほどの集中力と、それ以外への無頓着さ」です。
著者が取材したある学生は、自分が制作しているもの以外の生活費の計算がまったくできない、という話をしていました。天才であることと「通常の生活スキルを持っていること」は全く別物だという、ある意味当たり前の事実が、インタビューを通じて生々しく伝わってきます。
King Gnu・井口理の「当時の声」
本書の中で複数のブックライブレビューが特記しているのが、現在King Gnuのボーカルとして活躍している井口理氏が、本書執筆当時(2014年頃)東京藝大声楽科の学生として登場していることです。
「あの井口理が声楽科の学生だった頃の言葉がここにある」という感慨は、音楽ファンにとって特別な読み方ができる要素です。将来がまだ約束されていない段階で、藝大の学生として何を考え、何を目指していたか——それを本書は記録しています。この「後から読むと違う重みを持つ記録」という性質が、本書の価値のひとつになっています。
教員へのインタビューではなく学生だけを取材したという著者の方針も重要です。「将来がまだ約束されていない天才の卵たちの自己鍛錬と不安の日常生活」が記録されているからこそ、この本は「成功者の語録」ではなく「リアルな生態記録」になっています。
実際に試してみた
読む前:「芸術の世界はわからない」という疎外感
正直、芸術大学の世界は遠いものでした。自分はフリーライターで、ビジネス書・歴史書・小説を読む人間で、音楽も「聴くのは好きだが楽器は弾けない」程度。「美術館に行くのは年に1〜2回、展覧会の内容は半分もわからない」というレベルで、東京藝大という世界は完全に「自分には関係のない場所」という認識でした。
この本を読んだのは、妻が「最近読んで面白かった本の話をしてよ」と言い出したのがきっかけです。「芸術系の読みやすいノンフィクション」を探していて、書店で表紙を見て手に取りました。
「天才と普通人の違いは、量より質の問題だった」という気づき
読み始めてすぐ、「芸術の世界が遠い」という感覚が消えました。インタビューに出てくる学生たちは、確かに突出した才能を持っているけれど、彼らの「一番好きなことへの向き合い方」は誰にでも理解できるものです。「好きなことに時間を忘れて向き合える」「それ以外のことはどうでもよくなる」——これは天才だけの感覚ではなく、何かに本気で夢中になったことがある人なら理解できる感覚です。
「経済的に恵まれた学生たち」への言及もレビューで見ましたが、確かに親の支援なしに藝大で制作を続けることが難しいという現実は本書でも透けて見えます。ただその現実と「それでも制作を続ける意志」の両方が記録されているから、この本は単純な天才礼賛にならずに済んでいます。
変わったこと:藝祭(藝大の学園祭)に行ってみた
この本を読んで、東京藝大の学園祭「藝祭」に一度行きたくなりました。レビューでも「藝祭に行きたくなった」という声が多いのですが、それはこの本を読むと「自分の知らない世界を生で見たい」という気持ちが自然に生まれるからだと思います。まだ行けていませんが、次の藝祭の情報を調べるようになりました。
正直、ここが物足りなかった
本書の執筆は2014年頃の取材に基づいており、10年以上前の情報です。ブックライブでも「書籍執筆時点の情報への限界を感じる」という指摘があります。また芸術専攻の世界への関心がある読者ほど面白く読めますが、芸術に全く興味がない場合はインタビューの内容が「遠い話」に感じる可能性があります。「経済的な現実」への掘り下げが浅いという指摘もレビューにありました。
読者の評判・口コミ
ブックライブでは30件・評価4.0。「自分の好きなことを貫き通す人々の姿に引き込まれた」「藝大生が身近に感じられた」「King Gnu井口理が学生として登場している」という声が多く寄せられています。「深い」「アツい」「ためになる」という感情タグが上位。批判的な声では「経済格差への言及が薄い」「2014年当時の情報」という点が指摘されています。
良い点
- 著者の妻が藝大生というコーディネーターがいたからこそ実現した、距離の近いインタビューが読める
- 教員でなく「将来が約束されていない学生の声」だけを集めたことで、リアルな生態記録になっている
- 専門知識がなくても「好きなことへの向き合い方」という普遍的な感動で読める
注意点
- 2014年頃の取材に基づいているため、現在の藝大の情報とは異なる可能性がある
- 芸術への関心度が低い読者にはインタビューの面白さが伝わりにくい部分がある
- 「天才の成功法則」ではなく「天才の生態記録」であることを理解して読む必要がある
似た本と比べると
同じ「特殊な大学・特殊な人々」の取材本として、辻田真佐憲の防衛大学校取材本や、理系大学院の内側を描いたノンフィクションと比較されることがあります。ただ藝大の場合は「測定できない能力を選抜する場所」という特性が際立っており、他の専門大学取材本とは別種の興奮があります。読みやすさという点では最高水準で、ノンフィクション入門として非常に適した一冊です。
この本の前後に読む本
前に読む本: 特に前提知識は不要です。むしろ「芸術の世界を何も知らない」という状態のほうが、発見の多い読み方ができます。
後に読む本: 美術・芸術に興味が出た場合は、山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』がビジネスと芸術を繋ぐ観点で面白いです。
読了データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ページ数 | 約256ページ |
| 読了時間の目安 | 3〜4時間 |
| 図解・イラスト | 写真・図版あり |
| 難易度 | ★★☆☆☆(専門知識不要で誰でも読める) |
まとめ
『最後の秘境 東京藝大』は、「知らない世界をノンフィクションで旅する」という読書体験として優れた一冊です。天才を神話化するのではなく、「好きなことに本気で向き合っている人間の生活」として等身大に描いているから、芸術に詳しくない読者でも引き込まれます。
買うべき人は「芸術の世界に少し興味があるが接点がない人」「天才の生態をインタビューベースで知りたい人」です。買わなくていい人は「芸術に全く興味がない人」——ただそういう人でも、読んでみると思ったより面白かったという反応が多い本でもあります。知らない世界への扉を軽やかに開いてくれる、ノンフィクションの良作です。
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ゆう
フリーライター
フリーライター。WEBビジネス歴10年以上。3歳の息子を持つパパでもあり、育児と仕事の合間に年間200冊以上を読破。「この本で世界の見方が変わった」という体験を読者と共有したいと思いこのサイトを始めました。